営業の新常識:アカウントマネジメント

営業の新常識:アカウントマネジメント

“アカウントマネジメント”の考え方無くして、戦略的営業は成立しない

“アカウント”という言葉は、広告代理店業界等の業界では既に昔から使われていることばですが、ほとんどの日本の法人営業ではまだ定着しているとは言えません。“アカウント”は単なるカタカナの営業マーケティング用語ではなく、戦略的営業にとっては非常に重要な考え方です。

アカウント≠取引先企業
アカウント≠顧客


アカウントは、厳密には日本語の“取引先”や“顧客”と同じ意味ではありません。取引先は、取引先企業であったり、取引先事業部であったり、または取引先担当者であったり、かなり広い意味でつかわれています。また、“顧客”は取引先企業内でサービスや製品を実際に利用するユーザーの社員を含む広い意味で使われることが多いと思われます。

“アカウント”はより明確なビジネス用語で、営業担当者から見て営業活動が完結でき、営業マンの実績を評価できる顧客ビジネスの単位と考えることができます。より厳密には、

1.    サービスやモノに対する独立したニーズが存在し
2.    購買意思決定の完結するビジネスの単位

ということが言えます。従って、ひとつの取引先企業の中に複数のアカウントが存在することはごく一般的でしょう。また、“顧客”という場合には、営業上の“アカウント”に直接かかわりのない人も含むケースもあるでしょう。

“アカウント”は、購買意思決定が完結するビジネスの単位ですから、“アカウント”の情報を収集することが戦略的営業のカギであることがわかります。また、営業マンの評価は、“アカウント”をいかに攻め、営業実績を上げたかで評価されることになります。
一部の企業では、“取引先”や“顧客”という言葉を“アカウント”と同等に厳密に定義し、アカウントマネジメントを実行している企業もありますが、ほとんどの企業ではまだあいまいな使われ方がしているように思われます。

なぜ“アカウント”がフォーカスされないのか?:行動管理の伝統と対人スキル偏重の営業トレーニング

アカウントマネジメントやアカウントプランニングは、営業先の情報を収集するというごく当たり前の活動でありながら、なぜアカウントマネジメントやアカウントプランニングはこれまで注目されてこなかったのでしょうか?

原因の大きな部分は、日本の営業文化の伝統として、“行動管理”“目標(ノルマ)管理””対人スキル中心の営業トレーニング”の傾向が強いことがあげられます。

従来型営業文化の問題点
“行動管理”とは、営業マンの活動を日々管理することを言います。日報や週報で日々の時間の使い方を報告書にまとめたり、訪問件数や滞在時間、訪問した人の人数などを管理する手法です。

“行動管理”では、情報のフォーカスは“アカウント”ではなく営業マン本人にあります。しかしながら、営業マンの行動を詳細に記録し集積しても、“アカウント”の姿は見えてきません。従って、戦略営業に使える情報ではないということができます。また、“行動管理”中心の営業部門の管理職の仕事が営業マンの行動のチェックになり、売上増加に貢献する適切な戦略的アドバイスが与えにくく、営業マンの育成にも貢献しにくいという大きな欠点があります。
 
また、“目標(ノルマ)管理”の営業手法は、ノルマの達成率ばかりがフォーカスされ、“アカウント”に関する情報の戦略的な利用は更にむずかしくなります。営業ミーティングは単なる”圧力ミーティング””圧迫ミーティング”になってしまいます。

営業トレーニングは一般にロールプレーなどを中心に対人スキルに偏重している傾向があります。初回訪問からクロージングまでの標準的な営業プロセスの場面を教科書で学習し、ロールプレーで体験するというが一般的です。これも重要なスキルのひとつですが、アカウント(営業先)の情報を戦略的に利用することの重要性を強調しているケースはまれです。対人スキル型のトレーニングの結果として、営業マンが話しやすい相手のみを訪問し、実際には商談の進捗が進んでいないケースが多くなることも問題のひとつです。

→行動管理からアカウント情報の管理へ:“考える戦略営業”への変革
→営業会議をコーチングの場に変える
アカウントプランニングはなぜ重要か?