日本が遅れをとった”営業による問題解決”の発想

日本が遅れをとった”営業による問題解決”の発想

グローバル市場での日本企業の地盤沈下が続いています。かつては世界を席巻した日本のブランドが次のビジネスモデルが見えない状況です。一方、米国の企業はITを中心に復活し、韓国、台湾、中国の企業群は競争力を付けています。グーグルやアップルはマーケットリーダーとして君臨し、以前大型コンピュータの販売で大きな利益を上げていたIBMは、ソリューション中心の企業に変貌しています。また、韓国、台湾、中国の企業は日本のお家芸であった低コスト高品質のモノづくりで、更には製品企画力やブランドマーケティング力でも大きく改善が見られます。

日本企業の基本的な技術力や製品力は問題が無いと言われています。問題は、技術力や製品力を顧客のニーズや課題解決に結びつけ付加価値を創造するソリューション型営業、問題解決型営業、提案型営業で大きく遅れをとっていることだと考えられます。
日本企業は依然として国内市場中心に動いているので、営業方法や営業部門の文化は国内営業部門の影響を受けやすい状況です。営業担当は、国内営業で実績を積み、海外営業を担当するのが通常のケースです。問題は、国内営業の文化は未だに“ハコ売り”と言われるモノ中心の発想が強いことです。これは個別企業の問題ではなく、国内の業界全体が“ハコ売り”“モノ売り”文化に染まり、国内の競争環境を決定している傾向があります。一方、グローバル市場、特に先進国市場では”ハコ売り”から“ソリューション型””問題解決型”に移行しており、新興国市場でもその傾向は強まっています。日本企業の営業部門は、日本市場での成功体験がグローバルで通用しないという大きな問題を抱えています。

モノ経済が日本より早く成熟した米国では、1970年代から“ソリューション型営業”や“コンサルティング営業”が導入され、営業マンは営業スキルの転換にかなりのエネルギーと時間を投資しました。IBMが“ハコ売り”からソリューション企業に転換できた背景には、既にソリューション型営業の発想が米国市場全体に存在していたことが大きな要因になっていると思われます。
また、90年代にはCRMやSFAと呼ばれるソフトウェアも開発され、営業現場のITツールによる効率化も進みました。

一方、70年代、80年代は日本企業の製品競争力とコスト力は強く、むしろモノ売りでの自信を深めていた時代です。その後20年が経ち、市場環境は大きく変わり日本企業の立ち位置は変わりました。現在は、製品のコモディティ化の速度も早く、製品での付加価値で差別化することが困難になっています。日本の立ち位置が大きく変わったにもかかわらず、営業スタイルを変えられないことが日本企業低迷の一因ではないかと思われます。結果として、日本企業は部品供給という“モノ”中心の市場では存在感があるものの、顧客に近い部分での付加価値創造=ソリューションでは大きく遅れをとるようになりました。

このような状況の中で、戦略は2つ考えられます。コモディティ化戦略ソリューション型戦略、更には戦略パートナーシップ戦略です。コモディティ化戦略は、徹底的にコスト削減を行い、自社製品を過剰機能や過剰品質を削りあえてコモディティ化させて価格競争で勝利する戦略です。当然ですが、コモディティ化戦略は新興国企業に有利であり、現在日本企業でこの戦略を採用することはお勧めできません。日本企業に残された道は、高付加価値を狙うソリューション型、戦略パートナーシップ型の営業戦略ということになります。モノ売り中心の製品戦略、営業戦略に固執し続けると、いずれコモディティ化の波に押し流されます。日本企業は、新たな付加価値を発見する為の営業、或いは営業による付加価値を強化していく戦略に転換することが急務です。

→なぜソリューション型(問題解決型)営業が重要か?
→営業の新常識:アカウントマネジメント